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JR(Japan Railways)は、日本全国(沖縄県を除く)を広くカバーする鉄道ネットワーク。JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州の、6つの鉄道会社によって構成されていて、日本国内を移動する際の主要な交通手段のひとつとなっています。
もしJRの列車に乗って日本を旅したいのなら、ぜひ利用を検討したいのがJAPAN RAIL PASS(JR-PASS)。外国からの旅行者向けにJR6社が共同で販売するJAPAN RAIL PASSは、日本全国を走るJRの列車に、一定の期間内自由に何度でも乗ることができるきっぷで、世界各国から観光で日本を訪れる旅行者にとっての、とても頼もしい存在となっています。
列車に乗るたびにきっぷを買う手間がなく、便利なJAPAN RAIL PASSですが、なんと言ってもこのきっぷの最大の魅力は、乗車する距離や回数が増えれば増えるほど、普通にきっぷを買うのに比べどんどんお得になっていくことです。
まず初めにJAPAN RAIL PASSの価格と有効期間を確認しておきましょう。このきっぷは普通車用とグリーン車(ファーストクラス)用が、それぞれ7日間、14日間、21日間の有効期間で販売されています。販売価格は日本円建てで設定されていて、表の通りとなっています。
(単位:円)
| 種類 | グリーン車(ファーストクラス)用 | 普通車用 | ||
|---|---|---|---|---|
| 区分 | おとな | こども | おとな | こども |
| 7日間 | 70,000 | 35,000 | 50,000 | 25,000 |
| 14日間 | 110,000 | 55,000 | 80,000 | 40,000 |
| 21日間 | 140,000 | 70,000 | 100,000 | 50,000 |
※利用時において6歳以上12歳未満の場合は「こども」の価格が適用されます。

一方、多くの訪日旅行者にとって日本国内の旅の起点となるのは東京ですが、東京から日本国内の各主要都市までJRの新幹線の「普通車指定席」を利用して行く場合、普通にきっぷを買うと表のような価格となります。なお、JRの新幹線、在来線特急列車に乗る際は「普通乗車券」のほか、追加料金として「特急券」を買う必要があり、表に示した「価格」は、「普通乗車券」と「特急券」の合計額です。
(単位:円)
| 降車駅 | 片道 | 往復 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 名古屋 | 11,090 | 22,180 | 「ひかり」利用 |
| 京都 | 13,850 | 27,700 | 「ひかり」利用 |
| 大阪(新大阪) | 14,400 | 28,800 | 「ひかり」利用 |
| 広島 | 18,910 | 37,820 | 「のぞみ」利用 |
| 福岡(博多) | 22,750 | 45,500 | 「のぞみ」利用 |
| 鹿児島(鹿児島中央) | 32,790 | 65,580 | 「のぞみ」と「みずほ」の乗り継ぎ |
| 金沢 | 14,380 | 28,760 | 「かがやき」利用 |
| 新潟 | 10,760 | 21,520 | 「とき」利用 |
| 仙台 | 11,410 | 22,820 | 「はやぶさ」利用 |
| 青森(新青森) | 17,670 | 35,340 | 「はやぶさ」利用 |
| 函館 | 24,090 | 48,180 | 新函館北斗で函館行き普通列車に乗り換え |
| 札幌 | 29,680 | 59,360 | 新函館北斗で札幌行き特急「おおぞら」に乗り換え |
ここでJAPAN RAIL PASSで最も安い「普通車・7日間」用の50,000円と、各主要都市までJRの新幹線(普通車指定席)を利用した場合の価格を比較してみると、単純往復した場合でJAPAN RAIL PASSの方がお得なのは、鹿児島と札幌の2都市だけとなっています。ほかに福岡と函館は、前者なら熊本や長崎などへ、後者なら洞爺湖など、現地到着後さらに周辺の観光地まで足を延ばしたい、というのであれば元がとれそうです。しかし、そのほかの主要都市の場合、単純往復するだけではJAPAN RAIL PASSの方が高くついてします。もし日本滞在期間が短く、東京とその周辺のほかに訪れるのは京都・大阪・奈良など、定番観光地1か所だけ…という行程であれば、JAPAN RAIL PASSではなく、JRの駅の窓口で普通のきっぷや、JR各社が独自に販売する割引きっぷを買った方が良いでしょう。

「JAPAN RAIL PASSを使えば約2万円節約!東京〜鹿児島5泊6日の費用シミュレーション
| 区間 | 宿泊 | 通常料金(乗車券+特急券) | JRパス利用時 |
|---|---|---|---|
| 東京 → 広島 | 1泊 | 19,760円 | JRパス内 |
| 広島 → 博多 | 1泊 | 9,630円 | JRパス内 |
| 博多 → 鹿児島中央 | 1泊 | 11,950円 | JRパス内 |
| 鹿児島中央 → 京都 | 2泊 | 25,760円 | JRパス内 |
| 京都 → 東京 | – | 14,170円 | JRパス内 |
| 合計 | 5泊6日 | 81,270円 | 50,000円(JRパス7日) ※約31,300円お得! |
東京から単純に往復しても元が取れるといっても、鹿児島なら片道7時間近く、札幌なら片道8時間近くかかります。この長い道のりを列車に乗り通すのは退屈ですが、ここで生きてくるのが「自由に何度でも乗れる」JAPAN RAIL PASSの特長です。
例えば、東京から途中広島、福岡(博多)でそれぞれ1泊ずつして鹿児島(鹿児島中央)まで行き、鹿児島で1泊した後、途中京都で2泊して東京へ戻る、という5泊6日の行程も、7日間有効のJAPAN RAIL PASSがあれば簡単に実行できます。途中下車しながら東京~鹿児島中央を新幹線で往復する場合、乗車する区間ごとに特急券が必要となるため、駅の窓口で買う普通乗車券と特急券(通常期の普通車指定席利用、「のぞみ」「みずほ」「さくら」利用)の合計額は、単純往復よりも高い8万1,270円となりますが、JAPAN RAIL PASSならおよそ3万1,000円も安くなります。このように、ある程度の距離をあちこちで下車しながら進むコースを組むことで、JAPAN RAIL PASSをより一層お得に利用したいものです。

| 旅のパターン | 行程概要 |
通常料金
(新幹線きっぷ) |
JRパス利用時 | お得額 |
|---|---|---|---|---|
| ① 東京→函館(2泊3日)+東京→京都(2泊3日) | 東西を組み合わせた5泊6日旅(合計距離約2,000km) | 78,220円 | 50,000円(7日パス) | 28,220円お得 |
| ② 東京から日帰り旅行×3回 | 例:仙台・金沢・名古屋を日帰りで訪問 | 74,180円 | 50,000円(7日パス) | 24,180円お得 |
全く方向の違う2つの目的地を組み合わせるのも、JAPAN RAIL PASSをお得に活用するテクニックです。東京から函館へ2泊3日の旅をした後東京で1泊し、さらに京都へ2泊3日の旅をするという5泊6日の行程は、普通に新幹線のきっぷを買うと7万8,220円(通常期の普通車指定席利用、「はやぶさ」「ひかり」利用)かかるので、7日間有効のJAPAN RAIL PASSなら、約2万8,000円も節約することができます。また、1週間の東京滞在中に、普通に新幹線のきっぷを買うと往復1万7,000円以上かかる都市への日帰り旅行を3回以上しても、7日間有効のJAPAN RAIL PASSで元が取れます。仮に3回の日帰り旅行で仙台、金沢、名古屋を訪れるとしたら、普通に新幹線のきっぷを買うと合計7万4,180円かかるので、やはり7日間有効のJAPAN RAIL PASSが断然お得です。仙台、金沢、名古屋、いずれの都市も新幹線なら片道1時間半から2時間半ほどで行くことができ、列車も早朝から深夜まで多くの本数が運行されているので、日帰りでも無理なく観光が楽しめます。

| パス種別 | 有効期間 | 価格(普通車用) | 1日あたりの目安 | モデルルート(例) | 通常運賃の概算 | お得額(目安) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 14日間パス | 14日 | 80,000円 | 5,714円/日 | 日本列島半周(東側) | 約112,000円 | 約32,000円お得 |
| 21日間パス | 21日 | 100,000円 | 4,762円/日 | 日本列島一周 | 約207,000円 | 約107,000円お得 |
日本に長く滞在できるのなら、14日間有効、21日間有効のJAPAN RAIL PASSを利用するとさらにお得です。普通車用のJAPAN RAIL PASSは7日間有効の場合5万円で、1日当たりの価格は約7,143円ですが、14日間有効(8万円)では1日あたり約5,714円、21日間有効(10万円)では同じく約4,762円と、さらに割安になります。
2週間、3週間あれば、もっと広範囲を周遊するルートが組めます。例えば東京→札幌→青森→秋田→新潟→高崎→金沢→大阪→静岡→甲府→東京と、日本列島の東半分をぐるりと回るコースなら、新幹線と在来線特急列車の普通車指定席を利用するきっぷを普通に買うと11万2,000円前後かかるので、14日間有効のJAPAN RAIL PASS(8万円)を使えば約3万2,000円お得になります。さらに四国や九州も含めた日本列島一周となると、普通にきっぷを買うと20万6,000円前後かかるところ、21日間有効のJAPAN RAIL PASSを使えば、半額以下の10万円で済むので非常にお得です。
さらに札幌まで行ったついでに旭川まで足を延ばして旭山動物園を見学する、大阪・京都方面から東京へ帰る途中に名古屋で下車し、高山を訪れ昔の日本の面影を残す古い街並みを散策するなど、コースからちょっと外れた“寄り道”を付け加えるのも良いでしょう。寄り道をすればするほど、得する金額がどんどん増えていきます。その金額をいくらまで伸ばせるか、チャレンジしてみるのも面白いかもしれません。

日本全国約19,000kmのJR線を、一定の金額で自由自在に乗り回すことができるJAPAN RAIL PASS。乗れば乗るほど得をするその魅力について紹介しましたが、ここからはJAPAN RAIL PASSの購入と、具体的な効力について説明します。
JAPAN RAIL PASSを買えるのは、日本国外から「短期滞在」の入国資格により観光目的で日本を訪れる、日本人以外の短期旅行者です。訪問の目的が商用、留学の場合や、日本の在留カードを所持している人は買うことができません。
1.JAPAN RAIL PASS 購入のための専用Webサイト「JAPAN RAIL PASS RESERVATION」https://www.japanrailpass-reservation.net/ から購入できます。専用サイトの取扱時間は日本時間(JST)の4時から23時30分までです(JST=UTC+9:00)。
2.決済手段は購入者本人名義のクレジットカードのみ。本人名義でクレジットカードを所有できない子どもなどについては、購入者と同一日程であれば一緒に購入できます。また、購入者本人分に加え、利用資格を満たす同行者が利用するJAPAN RAIL PASSを、さらに5名分(合計6名分)まで購入することができます。
3.購入時にメールアドレス、利用者氏名及びパスポート番号の入力が必要です。
4.専用WebサイトでJAPAN RAIL PASSを購入後は、同じ専用Webサイトで新幹線や特急列車等の指定席を予約することができます。
5.JAPAN RAIL PASSの実物は、日本に到着してからの受け取りとなります。指定された受取箇所の窓口https://japanrailpass.net/en/exchange/で受け取ってください。その際、Web購入時に受け取った番号と、利用者全員分の「短期滞在」の証明がされたパスポートの提示が必要となります。
なお、専用Webサイトでの購入のほか、日本国外にあるJRの指定販売店・代理店の窓口https://japanrailpass.net/purchase/overseas/でJAPAN RAIL PASSの「引換証」を購入し、それを日本に到着してからJAPAN RAIL PASSの実物と引き換えるという方法もあります。引き換え場所は、専用Webサイトで予約した場合の受取箇所と同じです。

1.有効期間内であれば、JR6社のすべての鉄道路線で、何度でも列車に乗ることができます。さらに高速バスと一部の路線を除くJRグループの路線バス(JR北海道バス、JRバス東北、JRバス関東、JR東海バス、西日本JRバス、中国JRバス、JR四国バス、JR九州バス)、東京国際空港(羽田空港)と東京都心の浜松町を結ぶ空港アクセス路線である東京モノレール、世界文化遺産「厳島神社」へのアクセス航路であるJR宮島フェリーにも乗ることができます。


2.新幹線や、在来線の特急列車にも、東海道・山陽・九州新幹線の最速列車(「のぞみ」「みずほ」を除く)、追加料金なしで乗車できます。
3.新幹線の「のぞみ」「みずほ」は、JAPAN RAIL PASSだけでは乗車できません。乗車するごとに、別途JAPAN RAIL PASS所持者専用の「のぞみ・みずほ利用券」を購入する必要があります。「のぞみ・みずほ利用券」は乗車区間によって価格が異なり、東京~京都・新大阪の場合、4,960円となっています。
4.指定席を利用する場合は、乗車前にJR各駅の窓口、旅行センター、指定席券売機で「指定席券」を入手してください。JAPAN RAIL PASSを所持していれば、指定席券の入手に追加料金はかかりません。なお、自由席はJAPAN RAIL PASSだけで乗車できます。

使用上の注意
とても便利でお得なJAPAN RAIL PASSですが、使うにあたっていくつか注意したいことがあります。トラブルなく列車の旅を楽しむために、それらについてあらかじめ知っておきましょう。
日本国内には、JR6社以外のほかに、「私鉄」と呼ばれる、比較的狭いエリア内の輸送を受け持つ鉄道会社が多数あります。これらの鉄道はJAPAN RAIL PASSでは一切乗ることができません。特に大都市とその近郊エリアでは私鉄の路線が非常に多いので気を付けましょう。
また、成田国際空港と東京都心方面、関西国際空港と大阪都心方面とを結ぶ空港アクセス鉄道には、JRと私鉄、両方の路線があることにも注意が必要です。JAPAN RAIL PASSを空港アクセスにも使いたいのなら、間違えて私鉄の列車(成田国際空港なら京成電鉄、関西国際空港なら南海電鉄)に乗らないよう、しっかり確認しましょう。

グリーン車用のJAPAN RAIL PASSを利用する場合、列車によってはグリーン車が連結されていないことがあります。特に普通列車の場合、首都圏エリア以外でグリーン車を連結している列車はほぼありません。グリーン車を利用できなくてもグリーン料金の払い戻しはないので、乗車ルートのプランニングの際、グリーン車が連結されていない列車ばかり選んでしまうと損をするので注意が必要です。
なお、普通車用のJAPAN RAIL PASSでも、別途グリーン券を買えばグリーン車を利用できますが、新幹線や特急列車のグリーン車の場合はさらに特急券も買う必要があります。

最近、日本では全国的にJRの駅の有人きっぷ売場(みどりの窓口)が減っていることから、きっぷを買い求める人による有人きっぷ売場の混雑が激しくなっています。JAPAN RAIL PASSを利用する際も、指定席券を受け取るために長時間列に並ばされる可能性があるので、有人きっぷ売場を利用するなら十分な余裕を持って駅に行くようにしましょう。列に並ばずに、あるいは短時間並ぶだけで指定席券を入手できる、指定席券売機の利用もお勧めです。指定席券売機は英語、中国語(簡体、繁体)、韓国語での案内機能も備えています。

いかがでしたか?北海道から九州まで、日本全国どこへでも列車で行けるJAPAN RAIL PASSの魅力についておわかりいただけたでしょうか?列車の運行時間が正確なので、計画通りに旅が進むことが、鉄道で日本を旅する最大のメリット。新幹線をはじめ車両や施設の整備が行き届いているので、事故の心配もなく安全・快適な旅ができることも日本の鉄道の特長です。そんな素晴らしい日本の鉄道での旅行を、JAPAN RAIL PASSを片手に存分に、リーズナブルな費用で楽しんでください!

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